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「ジェンダーバラエティー・男児も女児も」 
(優生思想との無関係性、他者加害と自己加害の不存在)      
弁護士 遠 藤 直 哉

 純然たる男女生み分けは、優生思想とは無関係といえる。また、中絶によるものでない限り、他者や自己に危害を加えるものでもない。それ故、男女生み分けに反対する理由は、男女の数のバランスが崩れるという理屈のみ残る。しかし、以下の理由により禁止する程のものではないと考えられる。

(1) 3人目からの男女生み分けを認める方法は問題ない。特に、合計特殊出生率1.32を前提とすれば問題ない。
(2) 2人目から1人目と異なる生み分けを認める方法も問題ないと言える。例えば、第1子目男の場合には第2子目女、更に第3子目には男とすることである。
(3) 米国では、米国生殖医学会(ASRM)が「男女生み分け」を「ジェンダーバラエティー」として認めている。すなわち同学会は一九九四年に着床前の男女生み分けは、遺伝病回避のためには適切であるが、非医学的理由のみのためには受け入れられないとした(但し、制裁はない)。一九九九年には、少し進めて着床前診断による男女生み分けは、積極的には推奨されるものではないと意見を変えた。これはやむを得ない理由や必要性の高い場合には、許されるものと解されるものである。二〇〇一年には、flow cytometryなどの手法が安全で確実ならば、ジェンダーバラエティーのための生み分けを、医師は自由に実施できるとした。そして、欧米では後進国に比べ、男尊女卑が改善されているので、生み分けによっても、男女比のバランスは崩れないとコメントしている。
 以上については、ASRMのホームページhttp://www.asrm.org)を参照されたい(抜粋、本書第一章第3(4)@別紙5)。
(4) 日本でも社会的には認知されているといえる。飯塚理八先生の開発したパーコール法による生み分け法は杉山四郎医師を中心とする全国800名以上の医師で作る SS(Sex Selection) 研究会の多くの医師により実施された(18)。平成6年に会告で禁止されたにもかかわらず、継続されていることはほぼ間違いない(19)。男女産み分けの家庭医学書は本屋にずらりと並び、産婦人科医のホームページにもおびただしい宣伝がされているのは、多くの人々が産み分けを認めているどころか、これを強く望んでいる証拠である(20)。生殖医療法の泰斗である中谷瑾子博士もこれを禁止する必要はないといわれている(21)。
(5) 生み分けの実行者は全体から見れば極めて少数であり、男女比のバランスは崩れない。杉山医師の説明によれば、1年間で約150万人が出生し、7年間でざっと1050万人となるが、その間の全国のSS研究会会員が手がけた生み分けは約5000人であり、わずかであった。また、人工授精や着床前診断など費用や手間のかかることを第1子から行う確率は極めて低い。